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読書散歩 #81

読書散歩 第81回
再び向田邦子さん


何で見たのか忘れてしまいましたが、
向田邦子さんの使っておられた印泥の写真を拝見したことがあります。
陶器の蓋には、染付で五爪の竜が描いてありました。

私も同じような印泥を使っております。

印泥写真_convert_20180323113112

友人からいただいたものです。

「ふーん、向田さんと同じようなものを使っているのか」
と思いました。
その時は、まだ向田さんの作品を
読んだことがありませんでした。

食べ物の話が好きなもので、
有川浩さんを読んだきっかけで
向田邦子さんを読みましたが、
その後はあまり読んでいませんでした。

この「眠る盃」は、土井晩翠作詞、滝廉太郎作曲の
皆さんもよくご存じの「荒城の月」の歌詞「めぐるさかずき」を
向田邦子さんが「眠る盃」と
覚え込んでいたことに由来するタイトルです。
これだけでもふきだしそうになります。とにかく面白い本です。


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眠る盃
向田邦子 講談社文庫


第79回で「無名仮名人名簿」を紹介した時に、
アピックスの鈴木朝子さんに紹介され、早速に購入して読みました。

この文庫本を読み始めて、笑いが止まりませんでした。
こんな面白い随筆は久しぶりでした。
「笑い」とは「緊張と緩和」と言った落語家がいますが、
私たちが笑う時は、
「そうそう、そういうことよくある。私もよくやる。」
「そんなバカなことやらないよ。」とか、
「えー。そんなことほんとにあるの。」と
驚いた時などに笑ってしまいます。

新装版解説で酒井順子さんが、
向田邦子さんの面白さを
「ユーモラスな自虐」と書いておられますが
自虐だけではありませんでした。
いろいろな笑いのパターンを実にすばらしく組み合わせた
文章が書けるものだと感心してしまいます。

今回、この本に「一冊の本」という随筆で、
向田さんが夏目漱石の「吾輩は猫である」を
始めて読まれた時のことを

 今から考えればませていたとはいえ、小学校五年の子供に
 夏目漱石がどれほどわかったのか疑問です。
 私もはじめは「おはなし」として読んでいたような気がします。

と書いておられます。

この一文、私の胸に深く突き刺さりました。
第30回の「明治の文豪の作品」で夏目漱石の「こゝろ」と
森鴎外が訳したゲーテの「ファウスト」を紹介した時に、
「わからない」と感想を書かせていただきました。
私は、「こゝろ」も「ファウスト」も
「おはなし」として読んでいたことを思い知らされました。

また、平成30年2月25日の神戸新聞の「I(あい)読書」に
金沢大学教授の仲正昌樹さんが
「最後まで所有できぬもの」というタイトルで
「ファウスト」のことを
  
 人生の限界にぶつかり、
 自分がどれほどのものか意識するようになった人には
 限界を突破する力を与えてくれる悪魔は極めて蠱惑的な存在だ。
 50代半ばになり、先が見えてきた私には極めてリアルに感じられる。

と書いておられます。
「ふーん。そうなのか。」と感心しながら新聞も読みました。

話が少しそれましたが、
通勤の電車のなかでふきだすことも出来ず、
顔の筋肉が緩んだ私を
周りの人は不審に思われたのではないかと心配しています。
家で、妻に話をし、二人で思いっきりふきだして笑いました。
紹介いただいた鈴木さんに感謝感謝の気持ちで読み終えました。
プロフィール

兵庫県播磨高等学校

Author:兵庫県播磨高等学校
2021年に創立百周年を迎える兵庫県播磨高等学校です。
「読書の学校づくり」を推進中です。

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