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読書散歩 #79

読書散歩 第79回
妙に納得してしまう本

読んでいて、妙に納得しながら
読んでしまう本があります。
今回はそのうちの2冊を紹介します。
今回紹介する河合隼夫先生の「こころの処方箋」と
向田邦子さんの「無名仮名人名簿」は
納得の仕方は全く違うのですが、
「そうだ、そうだ」とか「全くその通り」とか
「そのようなことはよくあるよなあ」
とつぶやきながらの読書時間でした。


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こころの処方箋
河合隼雄 新潮文庫


河合隼雄先生の「こころの処方箋」のことは
第4回でも紹介しました。
改めて全部読み返してみました。
1つのテーマが4ページ、見開きで書かれています。
電車通勤しながら読んでいる私にとって、
この区切りが何ともいえず、
気持ちよく読み進むことができました。

読み始めるとなんとなく
納得しながら読んでいる自分に気が付きました。
目次には、「人の心などわかるはずがない」とか
「100%正しい忠告はまず役に立たない」などが
並んでいます。
目次を読んでいるだけで、
「そりゃそうだろう」と思い、
本文を読むと「なるほど」と思ってしまいます。
そのことを河合隼雄先生が、
「あとがき」で書いておられます。

 その人が「フム、フム」とうなずくのは、
 もともと自分の知っていたことが書いてあるからであって、
 私の書いていることは、
 既に読者が腹の底では知っていることを書いているのだ、
 ということに気づいたのである。
 端的に言えば、
 ここには「常識」が書いてあるのだ。(中略)
 常識のない人は不愉快である。どうも、
 これはマスコミなどで「非常識」が売り物になりやすいので、
 常識のない方が価値があると錯覚するのかもしれないが、
 常識を知らぬ「非常識」は、あまり好きになれない。

近ごろのテレビを見ていて、
この引用させていただいた「あとがき」に
「そうだ、そうだ」と言ってしまいました。
この「こころの処方箋」を改めて読んで、
もやもやしていた気分も晴れて、
「自分は自分、これでいい。」と感じました。



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無名仮名人名簿
向田邦子 文春文庫


この本を読むきっかけは、有川浩さんの本で、
食べ物に触れられたところで紹介されていたことです。
確かに目次を眺めてみると、
「お弁当」に始まって「七色とんがらし」
「キャデラック煎餅」「パセリ」「メロン」などと
続いています。
他にも、「麗子の足」では、
「子供の頃は牛蒡が苦手だった。」と
食べ物の話で始まります。

いつも思うのですが、向田さんの随筆には、
日常の生活の中で、
「うんうん、そうだそうだ。そういうことあるある。」と
言ってしまうことが書かれています。
妙に納得してしまいます。

「メロン」では、すぐに食べてしまっておいしくなかったことや、
おいしい時期まで待っていて、
しかし、「もったいない」という思いで時期を逃した話は
「そう、そう」と思ってしまいます。
なによりも、店先でメロンを手に取っていて、
メロンに親指がめり込んでしまって
「キズものだから、千円でいいよ」といわれて
安く買ったことがあり、次に出かけたときに、
メロンを手にとったら
「今日は親指は駄目よ」と言われた話など
噴きだしてしまいそうな逸話が次々に出てきます。

「白黒つけないリアリティ」と題のついた解説では、
 
 向田さんの視線は優しいだけでなく、
 鋭い観察力で人の見栄や体験を見抜いてしまう。
 でもそれが底意地の悪さで終わらないのは、
 「みんな同じですよ、立派そうに見える人でも
  あなたと変わらない、
  小さなことでくよくよしたり格好をつけたりして
  気張っているだけなんですよ」と
 背中を叩いてくれるような温かさに裏打ちされているからである。
 そして、その観察眼が、極上のおかしみを生み出す。

とありました。全くです。
プロフィール

兵庫県播磨高等学校

Author:兵庫県播磨高等学校
2021年に創立百周年を迎える兵庫県播磨高等学校です。
「読書の学校づくり」を推進中です。

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