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図書館司書の読書だより #5

図書館司書の読書だより 第5回
図書室最後のビッグイベント

図書部展示_convert_20171128133353

今年の学芸発表会は、11月3日・4日に行われました。

本校の歴史を紹介する「沿革資料展」と、
図書部・文芸部の展示が図書室で行われました。

部の展示は、窓際のスペースを使って
部の紹介のほか、部員によるおすすめの本と
それぞれのPOPを展示しました。

図書部は自分たちの活動を
「図書室をより良い場所、 過ごしやすい場所にするために
 様々な形で図書を展開するエンターテインメントクラブ」
と位置付け、日々の活動内容や年間行事を紹介しました。

図書部紹介_convert_20171128133245

図書部紹介㈪_convert_20171128133328

おすすめの一冊_convert_20171128133202

がばいばあちゃんシリーズ 部長おすすめ_convert_20171128133223


図書室のある南館は、校舎改築のために
来年1月に取り壊しが決まっています。
そのため、今回の学芸発表会が
図書室で行う最後のビッグイベントとなりました。

多くの保護者の方々が図書室を訪れて下さり、
図書室の見学とあわせて
楽しんでいただくことができました。


[紹介した本]
「リボン」小川糸
「つるかめ助産院」小川糸
「また、同じ夢を見ていた」住野よる
「本屋さんのダイアナ」柚木麻子

がばいばあちゃんシリーズ 島田洋七
「佐賀のがばいばあちゃん」
「笑顔で生きんしゃい!」
「かあちゃんに会いたい」
「幸せのトランク」

読書散歩 #78

読書散歩 第78回
原田マハさんの小説から

原田マハさんの小説は、
第15回に「本日は、お日柄もよく」で紹介しました。
また、新聞でも「リーチ先生」が連載され、
人と人とのつながりがあたたかく展開され
大変興味深く読ませていただきました。

「本日は、お日柄もよく」にしても、
「あなたは、誰かの大切な人」にしても
タイトルがいいと思われませんか。
また、タイトルに「、」がついているのも
おもしろく感じました。
原田さんの作品で、タイトルに句読点がついているのが
他にもあるのかなと思って
インターネットで調べてみましたが、
他には見つかりませんでした。


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あなたは、誰かの大切な人
原田マハ 講談社文庫

今回の「あなたは、誰かの大切な人」は
岩崎東里先生の本をお借りしました。
6つの短編が掲載されています。

どの話でも、家族、友人などの人と人とのつながりを
見事に描かれていました。
読み終えて、ほっこりとした気持ちになりました。

読んでいて、「ふ~ん、こんな表現があるのか。
このような言い回しはとてもできない。」と
思う文章に何回も出会いました。

いくらか紹介しますと、「最後の伝言」では、

 父を責める自分の言葉が、突然、大きな岩のように、
 どすんと胸の中に落ちてきた。

「月夜のアボカド」では、

 私は面食らったが、同時に心が弾むのを感じた。
 エスターが、出会い頭に、ぽん、と投げてきたボール。
 それに合わせて、私の心も、ぽん、と弾けたようだった。

「波打ち際のふたり」では、

 -帰ってこないなんて言わんといて。
 お母さん、ひとりっきりで、さびしいねん。
 そう言われて、私は、震えが足下から上がってきた。
 そのとき、私の目の前にいたのは、母ではなかった。私自身だった。

「皿の上の孤独」では、

 しんとして、味わい深く、さびしく、うつくしい言葉だった。
 私は、そのひと言を、目で食べ、味わい、飲み込んで、
 自分のものにした。

他の2編にも、心温まる言葉が出てきます。


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茶の本
岡倉覚三著 村岡博訳 岩波文庫


兵庫県立加古川東高等学校在職時に、生徒の引率で
フロリダのNASA、ワシントンではスミソニアン博物館、
ボストンではMITを訪問しました。
ボストンでは、ボストン美術館を訪問することができました。
以前から「茶の本」の著者岡倉覚三(天心)が部長を務め、
日本の美術品を数多く所蔵していることを聞き、
是非にと言って訪問することになりました。

展示室では、浮世絵、刀の鍔(つば)の企画展示など
数多くの展示を見ることができました。
浮世絵も紫外線カットの額に入れられ
色もよく保存されていました。
ときどき骨董屋さんなどで刀の鍔を見ることはありましたが、
象嵌(ぞうがん)の素晴らしさは
比較にならない美しいものばかりでした。
一番印象に残ったものは仏像です。

岡倉天心が仲介し
ボストン美術館が購入したと説明を受けた仏像は、
以前置かれていたお寺の檀家の方々が
「返してほしい」と言われて、
今もボストン美術館にお参りに来られると聞きました。

廃仏毀釈の中で天心の取った行動は
日本美術の良さを世界に紹介し、
認めさせた功績としては素晴らしいものだと思いますが、
いろいろな事情があったにせよ、
人々の心のよりどころを売却した
ことについては残念でなりません。

また、現在、発掘された陶片を集めて茶碗などに修復したり、
作り上げる「よびつぎ」をして
地域の茶会などに活用したりすることはできないのです。
「発掘されたままの状態での保管」という考えは、
天心の考えが今も守られているそうで、
直して使うことはできないとある方からお聞きしました。

このような美術品はそもそも
展示するためにだけつくられたものなんでしょうか。
箱の中で積み上げられて保管するためのものなんでしょうか。
そもそも何のためにつくられたのでしょうか。
このことを考えるにつけて
天心の考えにはついていけないところがあります。

「茶の本」は学生時代、茶道に凝り固まっていた時に購入し、
英語の本も丸善に注文して取り寄せました。
英語の本は、ポーランドのナザレ校に寄付し、
ナザレ校の図書館に所蔵されています。

ナザレ校の先生方にお会いすることを機会に、
黄色に変色した岩波文庫本を
久しぶりに取り出して読んでみました。
日本文化の普及のために英文で書かれたものを
村岡博さんが訳されています。
茶の歴史のこと、仏教の心のことなどが綴られています。
どれだけの方が読んで理解できるのか疑問が残ります。
学生当時はとにかく感心して読んだ記憶がありますが、
違った感想でした。

印象に残っている一節です。

 現代人は、技術に没頭して、
 おのれの域を脱することはまれである。
 竜門の琴を、なんのかいもなく
 かき鳴らそうとした楽人のごとく、
 ただおのれを歌うのみであるから、その作品は、
 科学には近かろうけれども、
 人情を離れること遠いのである。
 日本の古い俚諺に「見えはる男には惚れられぬ。」
 というのがある。
 そのわけは、そういう男の心には、
 愛を注いで満たすべきすきまがないからである。
 芸術においてもこれと等しく、
 虚栄は芸術家公衆いずれにおいても
 同情心を害することははなはだしいものである。

原田マハさんの「あなたは、誰かの大切な人」に
掲載されている「無用の人」に、
この「茶の本」が出てきます。
プロフィール

兵庫県播磨高等学校

Author:兵庫県播磨高等学校
2021年に創立百周年を迎える兵庫県播磨高等学校です。
「読書の学校づくり」を推進中です。

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