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読書散歩 #77

読書散歩 第77回
立て続けに有川浩さんの作品を


募集のために県立高等学校を訪ねたとき、
その学校の校長先生からいただいた
一冊の冊子が有川浩さんの作品を読むきっかけでした。
教育委員会に勤務していた時からいろいろと教えていただいた方です。
この冊子は、先生が学校のホームページに書かれているコラムを
まとめられたものです。
そこに有川浩さんの本が何冊か紹介されていました。


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植物図鑑
有川浩 幻冬舎文庫


いただいた冊子の最初に紹介されていた本です。
もともと植物に興味がある私は、
タイトルを読んで文庫版の図鑑かなと思ったのですが、
ほんのりとした恋愛小説でした。
初めて読む有川さんの小説です。

最初の植物はヘクソカズラ。変な名前ですが、
本当にかわいい花が咲きます。
ただ、匂いがかないません。
つる性の植物で、いくらでもはびこってしまう厄介な植物です。
家の庭でも知らないうちに広がっています。

ヘクソカズラの花_convert_20170831113325
自宅の庭に咲いたヘクソカズラの花です。

「お嬢さん、よかったら俺をひろってくれませんか」という
行き倒れになった一人の男のこの一言で話が始まっていきます。
よくこのような展開を考えつくもんですね。
作家の方々の頭の中をのぞいてみたい気持ちになります。

ヘクソカズラから始まって多くの植物が登場します。
その野草を料理するのですが、
そのレシピも巻末についています。
それに惹かれて読み始めたのかもしれません。
ユキノシタが出てきます。
以前に庭にあるユキノシタを取って、
てんぷらにして食べたことがあります。
私の口には合いませんでしたが。

読み終えてさわやかな感じが残る、有川さんの小説を
立て続けに読むきっかけになった本です。



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三匹のおっさん/三匹のおっさん ふたたび
有川浩 文春文庫


学校の図書館で借りていた「植物図鑑」を返したときに、
岩崎東里先生に「気楽に読めるものはないですか」と
リクエストし、借りた本です。

とにかく痛快。
定年を迎えた清田清一、通称キヨ。
居酒屋を息子夫婦に譲った立花重雄、通称シゲ。
小さな工場を営む有村則夫、通称ノリ。

この三人は昔「三匹の悪ガキ」で様々な事件を起こしました。
還暦を迎えた3人は、いまではキヨは父親から引き継いだ剣道場の師範、
シゲは柔道の達人、ノリは素晴らしい技術の持ち主になっています。
「還暦ぐらいでジジイの箱に蹴り込まれてたまるか」と言って、
「三匹の悪ガキ」のなれの果ての「三匹のおっさん」を結成して
ボランティアをすることになります。

第一話から第六話まで、3人は
町で起きる様々な「悪」に立ち向かい、
時代劇のように悪者を懲らしめる勧善懲悪の展開で
物語は進みます。

この三匹に様々なちょっかいを出しながら
事件解決にかかわるキヨの孫の祐希と
ノリの娘の早苗は素晴らしい味を出しています。

ノリは二人暮らしの娘がかわいくて、心配で、
早苗の行動にいろいろな反応をしますが、
その反応が少しオーバーに描かれているので、
思わず笑ってしまいます。

第六話の後に「あとがき」、「文庫版あとがき」があり、
文庫版あとがきには児玉清さんが
ラジオで紹介されたことが書かれています。
この「文庫版あとがき」の次に特別収録として2009年5月8日に
NHKラジオで放送された
「ラジオビタミン 児玉清の読みだしたら止まらない」
も掲載されています。
児玉さんが読まれた時の気持ちが素晴らしいことばで綴られています。

第一話から第六話、続きの3つの附録。
十分楽しむことのできる1冊です。

続編の「三匹のおっさん ふたたび」も同じように話が進みますが、
前巻のように三匹のおっさんが特技を生かして
暴れまわるシーンは少なくなっています。

しかし、その分、家族を思いやる
あたたかな気持ちが前面に出ているように思います。

この「ふたたび」にも、「あとがき(単行本時収録)」と
ドラマでキヨを演じられた北大路欣也さんの解説がついています。
この附録が得をしたような気分にさせてくれます。

だれもが、「なるほど」とか「そうだそうだ」と言いたくなるようなことを、
少し誇張しているからこその面白さが何とも言えない魅力と感じています。



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阪急電車
有川浩 幻冬舎文庫


久しぶりに用務でお会いすることとなった
アピックスの鈴木朝子さんと本の話になって、
「有川浩さんの『植物図鑑』『三匹のおっさん』がとてつもなく面白い」
という話をしておりました。鈴木さんから
「乗られたことがある方が読まれたらより面白いのでは」
と薦められました。
早速、岩崎東里先生にお借りしまして電車のなかで読みました。

いろいろと出てくる話題の中心人物が阪急電車に乗り合わせて
それぞれのドラマが進展していきます。
「この人たちとこの人たちは、また、出会うんだろうな、
どのような場面でどのような出会いをするのかなあ」と
思いながら読んでいました。
そのきっかけがまたまた、「えー、こーなるの!」と思ってしまいます。

解説には、児玉清さんが、私が読んだ感想と同じ思いを
素晴らしい文章で書かれています。
『三匹のおっさん』と同じで、
勧善懲悪までも行きませんが、正義
を貫いています。

この正義感を本当に面白く書かれている有川浩さん。
表紙の著者名に「HIRO ARIKAWA」と
ルビがふってあるのに気がつきました。
というのも、私は「ありかわ ひろし」と読んでいました。



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県庁おもてなし課
有川浩 角川書店


この本も、岩崎東里先生のおすすめです。
お借りした時には付箋に
「感想を是非お聞かせください」と書かれていました。

有川さんは、神戸新聞に
「イマドキつれづれ」というタイトルのエッセーを
書かれています。その何回目かに
「観光地に『おもてなし』の精神を」があります。

「県庁おもてなし課」が映画化されるときに、
高知県知事にお会いになったこと、
高知県がタクシー運転手の教育という
観光対策をされている話が出てきます。
観光の玄関口のタクシーの運転手。
有川さんが体験された面白くない経験を書かれています。

この本を読んで、今までの自分中心の視点を、
お客様視点に変えることがいかに大切かを感じました。
教育現場に身を置き、長いこと教えることに携わってきた身として、
今まで自分の価値観を押し付け、
自分の価値観での発言ばかりしてきたことへの
自戒の念が迫ってきたように思います。

もちろん自分の価値観は大切にしなければなりませんが、
そればかりに固執することはいかがなものかと思いました。

有川さんが高知県の観光大使を
依頼されたことから始まるこの小説は、
有川さんの経験されたことの記録のようでした。
それに、いつものほんのりとした恋愛がスパイスとしてよく効いています。

最後にまとめられている巻末特別企画の、
「物語が地方を元気にする!?」~
「『おもてなし課』と観光を“発見”」は、
高知県庁のおもてなし課の方との対談です。

また、「ウチのおもてなし-各県・市の観光課がPR競作!」は、
山梨、岩手、鹿児島、紋別、福島、新潟の県・市が
作成されたチラシが掲載されています。
「食べる」「見る」「遊ぶ」をいかにPRするか。面白いですね。



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明日の子供たち
有川浩 幻冬舎


児童養護施設の小説です。小説が終わった次のページに、
取材協力に「社会福祉法人神戸婦人同情会 子どもの家」、
本文に登場する手紙の文面協力に
「笹谷実咲さん」と書かれています。

母親の育児放棄で児童福祉施設「あしたの家」に入った奏子は、
「施設に入っている子供はかわいそう」と思われることに
反発を感じています。
新任職員として「あしたの家」にやってきた三田村にも
反発を感じていました。

「あしたの家」の職員は、
過去の経験からいろいろな考え方を持っています。
その考え方に同調したり、真っ向からぶつかったりしながら、
それでいて子どもたちにあたたかい心で接しています。
高校を卒業すると同時に退所し、
自立しなければならない子供たちの自立を
真剣に考えています。

後半では、退所した子供を支援するセンターの
「サロン・ド・日だまり」の存続の話が
中心になります。
市の福祉課が開催するシンポジウムで奏子が話をすることで、
「日だまり」は存続できそうになります。

その後、もっと多くの人に分かってもらうために
作家に小説を書いてもらうことを考え、
奏子は小説のなかで手紙を書きます。
その手紙を実際に書かれたのが、協力者の笹谷実咲さんです。

この小説が生まれるきっかけを、有川さんは最後に入れておられます。
「県庁おもてなし課」と同じパターンです。
この奏子さんの福祉課開催の
シンポジウムでのスピーチが素晴らしく、感動してしまいました。
プロフィール

兵庫県播磨高等学校

Author:兵庫県播磨高等学校
2021年に創立百周年を迎える兵庫県播磨高等学校です。
「読書の学校づくり」を推進中です。

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