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読書散歩 #76

読書散歩 第76回
司書の岩崎東里先生の紹介


司書の岩崎先生には、
「何かおもしろい本はありませんか。」とよくお聞きします。
岩崎先生は「そうですねえ。」と少し考えられて
「この本、おもしろいですよ。」と本棚から出して来られます。

岩崎先生はいつも、人が人を思いやる、
心温まる本を紹介されます。
今回も同じように紹介していただき、お借りした本です。


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みかづき
森 絵都 集英社

岩崎先生からは、「本屋大賞受賞にはならなかったのですが。」と
紹介いただきました。
本屋さんでも「本屋大賞2位」と書かれて並んでいました。

読み進めていく途中で、話の展開と、
まだ読んでいない残りの厚みを見ながら
このあとどのように展開していくのかと
想像しながら読んでいました。

大きく3つの話に分かれています。
それぞれ中心となっている人物は3人で、
大島吾郎、妻の大島千秋、孫の一郎の順に話が進み、
戦後教育の変遷が描かれています。

この小説の主人公は「教育」と感じました。
戦中、戦後の教育を経験した千秋は、
教員の変わり身の速さに疑問を感じ、
文部省の指導による公立学校の教育に反発して塾を立ち上げます。
非常におもしろい展開で話が進んでいきます。
途中で家族が互いに反発しながらも思いやる場面では、
涙するようなところが何か所か出てきます。

以前、教育委員会に勤めていた時にいろいろな方と
指導方法について話をしていたときに
出ていたことと同じような言葉が出てきます。

 「少人数指導で注意が必要なのは、
 教える側が口をはさみすぎないこと。
 つきっきりで勉強を見ていると、子どもが迷っているとき、
 つい口を出したくなる。わかりかけた瞬間に答えを言ってしまう。
 子どもはその場じゃわかったような気になるかもしれないが、
 それでは基礎学力が身についていかない」
 
 「国語も、数学の文章題も、英文読解も、
 子どもたちの挫折のもとをたどると
 文章力不足に行きつく傾向が近年はとくに目につく。
 ゲームやメールの影響だろうが、ただ単語をくっつけているだけで
 長い文章が書けないし、読めない。
 そういう子には、毎回、文章を組み立てる訓練に
 時間を割いてやるといい」

というようなことが、新任の塾講師の研修での場面で出てきます。
私自身、初心に帰って考えてみようと思った本でした。



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コーヒーが冷めないうちに
川口俊和 サンマーク出版

この本を読まれた方も多いと思います。
「ビブリオバトルで生徒が紹介した本です。」とお聞きしました。
帯には「4回泣けます」と書いてあります。

フニクリフニクラという名前の
不思議な都市伝説のある喫茶店。
過去に行けるという噂のある喫茶店での話です。

時間を移動するには、

 1 過去に戻っても、この喫茶店を訪れたことのない者には
   会う事ができない。
 2 過去に戻ってどんなに努力しても、現実は変わらない。
 3 過去に戻れる席には先客がいる。
   席に座れるのは、先客が席を立った時だけ。
 4 過去に戻っても、席を立って移動する事はできない。
 5 過去の戻れるのは、コーヒーをカップに注いでから、
   その「コーヒーが冷めるまで」の間だけ

というルールがあるんです。
席の先客がいつ席を立つのかは分からないのですが、
必ず1日に1回は空席になる等、
他にも決められた細かなさまざまなルールがあります。

「4回泣けます」とあるように4つの話で構成されています。

第1話は過去に1回だけこの喫茶店に来たことのある
バリバリのキャリアの女性。
第2話は、この店の常連客の看護師。
第3話も常連客の女性、
そして第4話は、この喫茶店のマスターの奥さんです。

実はこの席は過去だけでなく、未来にも行けるんです。
第4話は未来に行く話です。

どの話も、女性が過去・未来で会いたい人に会うのですが、
現実は変わらない。
しかし、時間の旅をした方々みんな、
自信にあふれた行動をすることになります。
その理由は、最後に、

 結局、過去や未来に行っても、
 何ひとつ現実は変わらないわけだから、
 この椅子に意味などないのでは?
 と都市伝説を扱う雑誌には書かれていたが、
 (心ひとつで、人間はどんなつらい現実も乗り越えていけるのだから、
 現実は変わらなくとも、人の心が変わるのなら、
 この椅子にもきっと大事な意味がある・・・・・)

と、書かれています。
「心ひとつで、人間はどんなつらい現実も乗り越えていける。」とは
よく聞く言葉ですが、4つの話を読んで実感してしまいました。
みなさんもいかがですか。
プロフィール

兵庫県播磨高等学校

Author:兵庫県播磨高等学校
2021年に創立百周年を迎える兵庫県播磨高等学校です。
「読書の学校づくり」を推進中です。

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