将来を考える1年生の皆さんへ


皆さんが進路を考えるうえで、
自分から行動を起こしてみることが大切だと考えている本校では、
読書を行動のひとつと捉えています。
誰かの物語を通して心が震える体験が、
それぞれの将来像を形づくっていくと思うからです。

本校オリジナルの進路指導テキスト
「ハーベストアワー」で推薦された本を紹介します。




◆1年生


~ いのちのバトン――“生かされている”ことに気付く2冊 ~

⑥かないくん  ②pray for japan  


『かないくん』 谷川俊太郎/松本大洋
ある日、クラスから、突然いなくなった「かないくん」。
日常に不意に訪れる「死」を、選び抜かれた言葉と絵で
浮かび上がらせた一冊。


『PRAY FOR JAPAN 3.11世界が祈り始めた日』
2011年に起きた東日本大震災のあとに、
「PRAY FOR JAPAN」という言葉とともに
世界中から送られたメッセージと写真を集めた一冊。





~ 将来に向かって、悩み、考え、踏み出す――“働く” ヒントをくれる2冊 ~

①魔女の宅急便  ⑦みんなのなやみ 


『魔女の宅急便』 角野栄子
魔女として独り立ちするために、
初めての街にやってきた魔女のキキと黒猫のジジ。
自分が役立てることはなんだろうと、
キキが一所懸命に考えて選んだ職業とは?


『みんなのなやみ』 重松清
「わたしがいま抱えている、
どうしようもない感情のことを、聞いてください」
――10代の若者たちの、よくあるようで、唯一無二の悩みに、
著者がていねいに答えていく一冊。





~ 青春と喪失――“生きる自分” を見つめなおす2冊 ~

⑤オレンジアンドタール  くちびるにうたをリサイズ


『オレンジ・アンド・タール』 藤沢周
同級生の自殺をきっかけに、主人公たちは考え始める。
自分はどうして生きているのだろう、
自分とは何だろう。


『くちびるに歌を』 中田永一
長崎県・五島列島の中学校を舞台に、
全国コンクールを目指す合唱部とその家族の物語。
日々に懸命に取り組むことを通し、主人公たちは自分の生き方に向き合う。





~ 生・愛・死――“これまで” と ”これから” に触れる2冊 ~

④何もかも憂鬱な夜に(文庫)  ③八日目の蝉  


『何もかも憂鬱な夜に』 中村文則
「僕」は刑務官で、施設で育った。
担当するのは夫婦二人を刺殺した二十歳の死刑囚。
「こんなにも生きる意味を教えてくれる小説はなかった」(解説より)


『八日目の蝉』 角田光代
幼い頃に誘拐事件の被害者となり、
実の両親のもとに戻った主人公は、家族との軋轢に悩む。
けれども自分には、誰かにきちんと愛された記憶がある。
愛してくれたその人とは。




副校長の読書散歩 #51

科学を俯瞰する

Selected by 安積秀幸副校長先生


51TOPリテイク



平成27年8月1日の神戸新聞に
「物理学を俯瞰する大教師」というタイトルで、
甲南大学元教授・京都大学名誉教授の佐藤文隆先生が、
ノーベル賞を受賞され7月5日に死去された
南部陽一郎先生との思い出を書かれています。

印象に残っているのは、


 1960年ごろまで、物理という物語を語って聞かせる
 偉大な理論物理学者がいた。
 「物理とはこう考えるのだ」と提示する「教師」のような存在だ。
 ドイツのハイゼンベルグ、ロシアのランダウ、
 米国のオッペンハイマー、ファインマン……。
 南部さんはこの列に連なる最後の世代だった。

 彼らに共通するのは、代表的な業績がよく分からないこと。
 (中略)
 つまり、南部さんは物理学全体を俯瞰する大教師だった。
 私はノーベル賞より、そのことに、はるかに偉さを感じる。


という後半の部分です。
ハイゼンベルグ、ランダウ、オッペンハイマー、ファインマン、
学生時代には必死に勉強した懐かしい名前でした。

領域を超えて科学に携わった方々の紹介です。








ペンギン

ペンギンが教えてくれた物理のはなし
渡辺佑基 著(河出ブックス)


とにかくタイトルに魅かれて読み始めました。
最初は物理には関係がない話が続いており、
物理ではなく生態学の話の本と失望しました。

著者はバイオロギング*の大家で、
魚なら泳ぐスピードやどれくらいの深さまで潜っていくのか、
鳥ならばどれくらいのスピードで
どれだけの距離をどのルートで飛んでいるのか
を調べる機器の歴史と調査内容を延々と書かれています。

*バイオロギング(Bio-logging):
バイオ(生き物)+ロギング(記録を取る)を組み合わせた和製英語。
超小型のデジタル記録計を野生動物からだに取りつけ、
その行動を計測する調査手法を指します。




しかしながら、その機器の開発に水や空気の抵抗、
動物の体の比重など物理現象をいかに活用するかの苦労話は
物理の教員である私には興味深いものがたくさんありました。
最初の失望感は吹っ飛んでしまっていました。

それにしても、この渡辺佑基さんは「いちびり」ですね。
読んでいて吹き出してしまいました。
また、観察に出かけた先々の料理を細かに書かれていますので、
一度食べてみたいと思いながらのひと時でした。


 鳥類のペンギンだけではなく哺乳類のアザラシやクジラ、
 爬虫類のウミガメなどは、
 三億五千万年前までは水中でえら呼吸をしていて、
 気の遠くなるような時間をかけた進化の過程で
 肺呼吸を始めていながら、
 その肺呼吸のメリットをふいにして、
 むしろそれが致命的なデメリットになる海の中の生活に、
 なぜ還っていった。
 なんという非効率。なんという行き当たりばったり。


と書かれていることに、「なるほど」と納得してしまいました。








どみとり

ドミトリーともきんす
高野文子 著(中央公論社)


この本は、鳥取のYさんから送られてきた本の1冊です。
以前一緒に勤めていましたとき、Yさんとは
中谷宇吉郎や寺田寅彦等の科学者の話をし、
理科を専門にしている私よりも科学全体をよくとらえておられ、
大変多くのことを教えていただきました。

『ドミトリーともきんす』は漫画仕立てですが、
とも子さんと娘のきん子さんの住んでいる学生寮に、
「朝永振一郎」「牧野富太郎」「中谷宇吉郎」「湯川秀樹」の
4人の寮生が2階に暮らしている設定で、
それぞれの科学者と著作が紹介されています。

とも子さんはジョージ・ガモフのファンで、「ともきんす」という名前は
ガモフの『トムキンスの冒険』から取ったと言っています。

とむきんす


特に湯川さんの章ではなかなか難しい話が書かれています。
しかしそれぞれの章の終わりには
著作がわかりやすく紹介されており、
興味がわいてきます。

朝永さんのところでは、以前第5回で紹介しました
「滞独日記」について書かれています。

わかりにくい科学の話を漫画で紹介すると、
余計にわかりにくいところもありますが
雰囲気で読んでいくと割合にほんわかとした気持ちで、
時々あたらしい発見をすることができました。

それぞれの4人の科学者の著書は
買っていながら読んでいない本も紹介されています。
意を決して読んでみようという気になりました。






* 「副校長の読書散歩」とは?

副校長の読書散歩 #50

好みの本を紹介

Selected by 安積秀幸副校長先生


IMG_4002



兵庫県播磨高等学校では読書の学校づくりの一環として
朝の10分間読書を行っております。
学校の生徒や職員に読んでもらいたい
本の紹介から始まった「副校長の読書散歩」も
第50回になりました。
鳥取のYさんや友人の国語の先生をはじめ、
薦められた本はたくさんありますが、
そのうちの気に入った本、面白かった本について
思いつくままに書いてきました。

大学の恩師の米山徹先生には、「なかなか幅広くてよろしい。」
と褒めていただきました。思いもよらない方から
「読んでいますよ。」
と声をかけていただくこともありました。

読書感想文を書くのが大嫌いの私が、
つれづれなるままに読み散らした本の話です。
少しでも本を読んでみようという気に
なっていただけたらと思っています。

今回は、様々な本を紹介されている本を2冊紹介しましょう。







IMG_0807

戦争よりも本がいい
池内紀 著(講談社)


この本は、新聞の書評欄に紹介され、
著者が姫路出身の池内紀先生でもあり、
また、書名が『戦争よりも本がいい』と
「そりゃそうだ」と思ったことがきっかけで、
岩崎東里先生に「この本読んでみたい。」と言ったのです。

この本のあとがきには、

 「書きはじめのころは、自分の仕事場の本棚から本を選んだ。
 これは簡単だった。なじみの本であって、
 なじみの店のようによく知っている。(中略)
 つぎには、わが家のあちこちの書棚から選んだ。
 (中略)そのつぎには、書棚の奥に隠れている本から選んだ。
 (中略)その間にも出かけるたびに、これと思う本を買ってきた。
 (中略)ここに収めた百二十九冊は、
 そんなふうにして選ばれた本たちである。」

とあります。

1冊につき3ページ。それぞれの本の紹介の後に書かれている
「もうひとこと」の小文がまたまたすばらしい。
紹介文を読み終えてこの「もうひとこと」を読むと、
「この本いいなあ。読んでみたいなあ」と背中を押されます。

読み始めて、手元の紙に「いいなあ、読んでみたいなあ」と
思った本をメモし始めました。
見る見るうちにいっぱいになり、ノートに書くことにしました。

『みみず』、『新編 薫響集』、『しぶらの里』、
『餅博物誌』、『戦争と気象』、
『偉人暦』、『味覚極楽』、『食道楽』、『銀座』、
『金谷上人行状記』、『冗談十年』……。

次々と出てきます。うれしいやら困ったやら。

紹介されている本で、
私が読んでみたことのあるのは1冊だけでした。
本当に池内紀先生の書棚を覗いてみたいと思った1冊です。








IMG_0808

柔らかな犀の角 山﨑努の読書日記
山﨑努 著(文藝春秋)


 「犀の角は堅いと思っていましたが、インドサイの角は、
 実はぶよぶよで闘争の武器にはならないそうです。」

その解説から始まっています。

この本を紹介いただいたのは、
以前登場いただいていたアピックスの鈴木朝子さんです。
私がこの「副校長の読書散歩」を書かせていただいていることから、
「参考にしてください。」と貸していただいたことがきっかけです。
だいぶ前にお借りしたのですが、
「みをつくし料理帖」シリーズに熱中してしまったことで、
ポーランド研修旅行に持って行ったものの読まずに帰ってきました。
結局長い間お借りすることになってしまいました。

さすがに俳優をされている方の視点やら
人とのつながりは素晴らしく、感心しながら拝読しました。
最初に索引を見て、何よりもそのページ数に驚きました。
ゆっくり見ますと、「書名索引」、「人名索引」、
「映画、演劇、テレビ(タイトル)索引」、
「その他索引」と分けてありました。
ユニークな索引と思われませんか。

中身も面白く、特に最後の「臨終図巻」で出てきます
山田風太郎の『人間臨終図巻』が面白く感じました。
いろいろな方の臨終を描いているようです。
山田風太郎は第26回でも紹介しましたが、
『人間臨終図巻』は旧香寺町立図書館で
山田風太郎に凝っていた時に
読み残している1冊です。
その当時は「臨終なんて縁起でもない」と思っていました。
しかし、山﨑さんの紹介で読んでみる気になりました。





* 「副校長の読書散歩」とは?
プロフィール

兵庫県播磨高等学校

Author:兵庫県播磨高等学校
2021年に創立百周年を迎える兵庫県播磨高等学校です。
「読書の学校づくり」を推進中です。

カテゴリ
最新記事
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR