副校長の読書散歩 #45

のび太君の生き方

Selected by 安積秀幸副校長先生


のび太TOP



今回紹介します2冊の本は、
濵田嘉之先生と昼食をとっていた時に
話をお聞きしたのがきっかけです。

濵田先生からお借りして読んでみました。
私が読み終えてから学級文庫に置かれるそうです。

著者は富山大学で「ドラえもん学」を研究しておられるそうです。
ドラえもんに登場するのび太君は、
何をしてもだめと自分でも思い込んでいます。

ドラえもんから様々な道具を借りて
考えたことや夢を実現しようと頑張ります。
途中であきらめて昼寝をしてしまうこともあれば、
時には最後まで頑張って実現することもあります。
みんなのマドンナのしずかちゃんと結婚を夢見ており、
夢を達成します。

著者はその過程を「のび太メソッド」と名付けて
研究されていると「はじめに」で書かれています。








のび太という生き方

「のび太」という生きかた
横山泰行 著(アスコム)


のび太君は、もしドラえもんと出会わなければ、
未来でジャイアンの妹ジャイ子と結婚するはずでした。

のび太君がジャイ子と結婚してできた
孫の孫にあたるセワシ君が、
のび太君の作った借金を100年たっても返しきれなくて、
そのことをドラえもんに告白します。

そこでのび太君の現実や将来を変えるために、
ドラえもんがのび太君のもとにやってきたのです。

のび太君は、自分でも「ダメのび太」と言っています。
しかし、ドラえもんのポケットから出てくる
様々な道具に助けられながら、
実は想像以上に人生を上手に歩んでいます。

のび太君は、マドンナしずかちゃんと結婚することになります。
その結婚前夜にしずかちゃんはお父さんに
「あたし・・・、不安なの。うまくやっていけるかしら。」と問いかけます。

お父さんは、
「のび太君を選んだきみの判断は正しかったと思うよ。
あの青年は人の幸せを願い、人の不幸を悲しむことのできる人だ。
それがいちばん人間にとってだいじなことなんだからね。」と答えます。

この視点でドラえもんを見ていると、
しずかちゃんをはじめとして、ジャイアンやスネ夫、出木杉君との
様々な友達関係のなかでのすばらしいのび太君を
発見できるのではないでしょうか。

通勤途上の電車の中で感心しながら、この本を読みました。









のび太が教えてくれたこと

ダメダメでも夢が叶う のび太が教えてくれたこと
横山泰行 著(アスコム)


近頃風邪をひいて、病院の待合室で順番を待ちながら読みました。

この本は、『「のび太」という生きかた』の続編として書かれています。
6つの章にそれぞれいくつかの「のび太の教え」が
『ドラえもん』の中のシーンに合わせて
モチベーションをアップする方法がいくつか書かれています。

読み進めるにしたがって、
兵庫県播磨高等学校で実施している
「7つの習慣J」と同じことを言っているなあと感じました。

第3章の「のび太の教え18」では、
「モチベーションアップは『形』から」というテーマになっています。
兵庫県播磨高等学校で常に言っています
「形から入って心を育てる」に共通したテーマではないでしょうか。

何よりも、「人生を楽しく」を実践しているのび太君を
再発見した本でした。







* 「副校長の読書散歩」とは?

「図書だより 4月号」

※画像をクリックすると、別画面にて表示されます。
  ズームアップしてご覧ください。


April_01.png
April_02.png

「図書だより 4月号」です。

新年度が始まりました。

例年、6月には
1年生の各クラスを対象に
図書館の利用ガイダンスを実施しています。

今年も、新入生の皆さんと
図書館で会えるのを楽しみしています。

副校長の読書散歩 #44

菜の花忌シンポジウムに出席して

Selected by 安積秀幸副校長先生


菜の花TOP




司馬遼太郎が好きだった菜の花にちなんで、
2月12日の命日を「菜の花忌」と言います。

平成27年2月7日にNHK大坂ホールで
菜の花忌シンポジウムが開催されました。

鳥取のYさんから電話をいただき、
「所用で行けなくなった。代わりに行きませんか。」と
お誘いを受けました。
Yさんは以前から司馬遼太郎さんがお好きで、
いろいろと教えていただいています。

司馬遼太郎さんの著作は、第6回で、
『故郷忘じがたく候』『二十一世紀に生きる君たちへ』を紹介しました。
その後、司馬遼太郎さんの作品を読もうと思っていたのですが、
菜の花忌シンポジウムを契機に思い切って長編を読んでみました。









城塞1 城塞29

城塞 (『司馬遼太郎全集』28・29)
司馬遼太郎 著(文藝春秋)


この本を読むきっかけは、菜の花忌シンポジウム
「乱世から乱世へ――『城塞』から考える」を聞いたことです。
その時の様子は3月7日にNHKのEテレで放送されました。

古屋和雄さんの司会で、建築家の安藤忠雄さん、作家の伊東潤さん、
大学教授の磯田道史さん、女優の杏さんの
非常に面白く興味深い話を聞くことができました。

大坂城内の「平和ぼけ」についてもかなりの時間の話がありました。
現代の社会状況との比較話もありました。
「歴史小説を読んでいる人のほとんどが結末を知っている。」という
伊東潤さんの話が印象に残っています。

この「城塞」は新潮文庫からも3巻に分かれて出版されていますが、
今回は図書館の司馬遼太郎全集で読みました。
第28巻と第29巻の前半にわたって収録されています。
シンポジウムで杏さんが
「正月の3日間で読めると思っていましたが、
先週までかかってしまいました。」
と言われるほどの大作です。

この長編を読んでいると、
徳川幕府300年の基礎を築いた徳川家康の
周到なかつ緻密な計画には感心させられます。

大坂冬の陣、夏の陣という2回の戦いにおいて、
かつて豊臣の家臣だった大名の配置や使い方、
将軍徳川秀忠の動かし方、大坂城にたてこもっている大名や
豊臣秀頼を取り巻く女性たちへの働きかけ、
「そこまでやるか」と思うほど徹底しています。

秀頼を取り巻く淀殿をはじめとする女性たちと、
淀殿に逆らわずにうまく立ち回っている武士たち。
真田幸村に代表される豊臣家を大切に思っている武士の考えや策は、
平和ぼけした上層部には受け入れられません。

大坂城を攻める家康軍における、
これからのお家安泰を願う多くの大名の行動も、
これと似たようなものかもしれません。

しかし、人の心を手玉に取り、
作中でも「世間」という言葉を使っていますが、
世の動きを常に気にかけ、
長期の徳川政権を樹立するために
どのようにすればよいかを考えていた家康。
その家康の先を見越した策と実行力に軍配が上がったと感じました。

その過程で方広寺鐘銘事件*も出てきます。
方広寺の大仏は取り壊されてしまいますが、
その大仏に使われていた銅が寛永通宝の鋳造に使われます。
裏に「文」と書かれている寛永通宝に
鋳つぶされた方広寺の大仏の銅が使われているそうです。


寛永通宝
▲副校長先生がお持ちの寛永通宝。裏面には「文」の刻印が見てとれる。
 浅草寺近くの西参道商店街にある「すずや」というお店にて購入されたとのこと。



家康に翻弄される多くの人たちの人間模様が非常に面白く、
「自分もその立場に置かれると、
家康に翻弄された人と同じことをしてしまうよなあ。」
と思いながら読みました。



*方広寺鐘銘(しょうめい)事件:
家康が、豊臣氏の討伐を目論み謀略した事件のひとつです。
家康は豊臣秀頼に、東山方広寺大仏殿の再建を勧めて多大な経費をかけさせたうえ、
鐘の銘文「国家安康」「君臣豊楽、子孫殷昌」は、
「国家安康」の句の中に「家康」の名が分断されていることや、
さらに「臣豊」をひっくり返すと「豊臣」となることから、
これを、“家康を安の一字によって切り、豊臣を君として楽しむ”などと解釈し、
徳川を呪詛し、現体制の転覆による
豊臣の世の復活と繁栄を願うものであるとして激怒してみせました。
この弁明のため豊臣氏が派遣した2名の使者に、あえて異なる返答を持ち帰らせ、
結果的に豊臣氏が要求に応じることのない状況を作り出したうえで、幕府への反抗と断定。
これを理由に、大坂城への攻撃を開始したと言われています。






* 「副校長の読書散歩」とは?
プロフィール

兵庫県播磨高等学校

Author:兵庫県播磨高等学校
2021年に創立百周年を迎える兵庫県播磨高等学校です。
「読書の学校づくり」を推進中です。

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