副校長の読書散歩 #27

国語の先生から紹介された2冊

Selected by 安積秀幸副校長先生

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今回の本を紹介してくださったのは、
はからずも、私と一緒に同じ学校で教員生活をスタートし、
その後30年余を公立学校で勤務し、
退職後にまた同じ学校ですることになった先生です。
初任の学校で勤務して以来の友人です。

しかし残念ながらある事情で、この3月退職されることになりました。
いろいろとお教えいただきましたが、
興味深い本を紹介していただいたのもその一つです。

年度の変わり目は別れと出会いの時期です。
これからも友人としてお付き合いをし、
教えていただきたいと思っています。






教え方でみがく日本語


数え方でみがく日本語
飯田朝子 著(ちくまプリマー新書)


車に乗せてもらって読書の話をしていた時に、紹介されたのがこの本です。
「連続した内容の、小説のような本は
短い区切られた時間では読みにくいけれど、
この本はひとつひとつのエピソードが
それぞれで完結しているのでよみやすいよ。」
ということでした。
しばらくして貸していただきました。

「助数詞」は、ものを数えるときにつける言葉です。
本なら「冊」、紙なら「枚」というものです。
よく似たものに「単位」がありますが、「助数詞」と「単位」は違います。

著者は、「単位」は他の数字に置きかえることができると言っています。
例えば、長さを表す単位の「メートル」は
数字を100倍すると「センチメートル」、
数字を1000で割れば「キロメートル」に置き換えることができます。
しかし、「数助詞」は変わりません。

読んで面白いと感じたのは、
「二人組」を「ふたりぐみ」と読むか「ににんぐみ」と読むか、
その読み方によってどのような二人なのかがわかると書いておられます。
おわかりですか?
興味ある方は是非読んでみてください。

このような助数詞は、500種類くらいあるそうです。
数え方が多い言語の共通点は、冠詞がないこと、
名詞の複数形がないこと、名詞のジェンダーがないことが
あげられるそうです。
他にも、興味深いエピソードがいっぱいです。
お薦めです。と言いながら、私も薦められた一人ですが。





古城の風景


古城の風景 1
宮城谷 昌光 著(新潮社)


この本を読むきっかけは、
インドネシア研修旅行の道中で飛行機や移動中に読むつもりで、
「何かいい本ない?」と言って貸してもらったことです。

あまり分厚くもなく機内持ち込みの手荷物で持っていましたが、
結局読むことができませんでした。
鳥取のYさんからいただいた中勘助の「蜜蜂」を読んでいたからです。

帰国してから読み始めましたが、
愛知県出身の著者が、愛知県の古城をめぐる旅行記です。
歴史上の人物が次から次へと出てきます。

その調べ方に「よくぞここまで」と感じ入ってしまいました。
そこまで調べて、人と人とのつながりと、
時間の経過をきちんと整理できないと
小説は書けないことも改めて知らされた本でした。

今橋城のところでは、
「国の財産とは、けっきょく文化しかないのではないか。」
と書かれています。
全く同感です。

経済優先の中で文化の予算が削られている世の中になっています。
私も、人々が生きてきた時代時代の、
人々の活動の積み重ねである文化を
我々はもっと大切にしなければならないと思っています。





* 「副校長の読書散歩」とは?

「図書だより 4月号」

※画像をクリックすると、別画面にて表示されます。
  ズームアップしてご覧ください。


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今年度最初の図書だよりです。

図書室では、
たくさんの本との出会いが皆さんを待っています!

副校長の読書散歩 #26

あまり知られていない山田風太郎の作品

Selected by 安積秀幸副校長先生

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山田風太郎と言えば、奇想天外な忍法帳で有名ですが、
なかなか興味深い小説が多いのです。

そのことを教えてくださったのが有本倶子さんです。
有本倶子さんは山田風太郎記念館の建設運動に奔走され、
現在は当館の運営に携わっておられます。
有本倶子さんは山田風太郎の研究家の第一人者と私は思っています。

有本倶子さんとはじめてお会いしたのは、
豊岡高等学校に単身赴任をしていた時です。
山田風太郎は旧制豊岡中学校(現在の豊岡高等学校)に在籍、
卒業しています。

豊岡高等学校の図書館には在学当時の文芸誌「達徳」が保管されており、
山田誠也の名前で多くの作品が残されています。
その調査に来られた有本倶子さんにお会いし、
お話をお聞きしたことが始まりです。

以来、何かにつけて教えていただいております。
今回は、有本倶子さんの成果をまとめられた本を紹介します。







書簡集


山田風太郎 疾風迅雷書簡集
有本倶子 著(神戸新聞総合出版センター)


この本は、昭和14年から昭和20年にかけての山田風太郎の書簡集です。
友人である小西哲夫さん、北井豊さん、吉田靖彦さんに
宛てた書簡がまとめてあります。
旧制豊岡中学校の学生のころの手紙やはがきを読みますと、
特に寮での生活は破天荒。
停学もあり、驚きの学生生活を送っておられたようです。

平成16年12月1日に発行されているこの本を購入しましたのは、
まだ、豊岡に単身赴任する前で、
新聞で出版されたことを知ってのことでした。

一時、香寺町立図書館で借りて、
風太郎さんの本を片っ端から読み漁っていたこともあり、
このような小説を書く人はどのような学生時代を送ったのかに
興味を持ったことからでした。
購入して読み始めて驚きの連続であったことを今も覚えています。

その時初めて、有本倶子さんの名前を拝見しましたが、
4年ほどたってから、風太郎さんの母校に赴任し、
有本さんにお会いして著書をいただくとは思ってもみませんでした。

学校の図書館においておりますから、一度手に取ってみてください。





もうひとりの


もう一人の山田風太郎
有本倶子 著(出版芸術社)


この本は、豊岡高等学校に赴任していた時に
有本倶子さんに頂戴しました。

本の表紙を開きますと、カバーに

「あんたぼくより、ぼくのこと詳しいねぇ」
  風太郎自身を唸らせた同郷の著者による
         少年時代の山田風太郎の全貌。

と書かれています。

山田誠也(風太郎さんの本名です)は、
関宮、諸寄(もろよせ)、豊岡、東京と
居をいろいろなところで構えますが、
その時々の生活が詳しく書かれています。

文芸誌「達徳」の50号は、
山田誠也が描いた武士の鎧の一部が表紙をかざっています。
本当に素晴らしい絵です。
その絵はもちろんのこと、
鳥取藩の御用絵師小畑稲升を先祖に持っていることも書かれています。
小畑稲升は、「鯉の稲升」と言われるほど鯉の絵が得意だったそうです。

冒頭に書きましたように、
本人が感心するほど山田誠也を調べられた
有本さんのエネルギーに感心させられた一冊です。






橘


山田風太郎初期作品集 橘傳來記
山田風太郎 著(出版芸術社)


第14回の「童謡・唱歌を楽しむ3冊」で、
「甍の波と雲の波」で始まる「鯉のぼり」の3番、
「百瀬の滝を登りなば、忽ち龍になりぬべき」の歌詞が
登竜門の話であることを書きました。この歌詞に興味を持っていて、
作詞をされたのは誰かと調べていることの理由は別の機会にと書きました。

この歌にはもう一つ「たちばなかおる あさかぜに」の一節があります。
この唱歌に興味を持って調べていたのは、
鯉と橘が単身赴任をしていた但馬に関連しており、
但馬の風景を感じさせるからなのです。

鯉の話は、『もう一人の山田風太郎』のところで
先祖に鯉の絵を得意にされた先祖がおられたことを書きました。

また、香住には応挙寺と呼ばれている大乗寺があります。
大乗寺には丸山応挙とその弟子の襖絵がたくさん展示されています。
その絵の中に、すばらしい龍門鯉魚図や、
「八方にらみ図」と呼ばれ、見る方向によって違った見え方のする
丸山応瑞の「遊鯉図」があり、鯉のすばらしい絵がたくさん残っています。

もう一つはこの『橘傳來記』です。
垂仁天皇の命で、田道間守(たじまもり)は
「非時香菓(ときじくのかぐのみ)」を常世国に探しに行きます。
探し当てて持って帰ってきますが、
その時には天皇は既に亡くなっていました。
その「非時香菓」が橘の実なんです。

また、この小説には、田道間守は、
新羅から渡来した天日槍命(あめのひぼこのみこと)の
玄孫であると書かれています。
天日槍命は、豊岡市出石町の出石神社に、
田道間守は、同じく出石町の長嶋神社に祭られています。
橘の実は菓子の最上級品とされており、
この長嶋神社はお菓子の神様として全国的に有名で、
多くの菓子業者が参拝に来られています。

鯉の稲升、天日槍命、田道間守、橘の実、
出石神社、長嶋神社、応挙寺の名で親しまれている大乗寺と並べてみて、
「鯉のぼり」の歌詞を但馬と関連付けて考えてしまうのは私だけでしょうか。


IMG_3747.jpg
この出石焼の向付には、鯉の陽刻(ちょっと見にくいところがありますが)と
橘の枝を持った人物が遠くの島を眺めている様子が描かれています。
面白い構図ではないでしょうか。







山田風太郎新発見


山田風太郎新発見作品集
山田風太郎 著・有本俱子 編(出版芸術社)


この本が有本倶子さんから送られてきたのは平成25年の11月下旬でした。
早速読みました。

扉を開けると風太郎さんの写真に始まり、
風太郎さんが書いたスケッチの写真が掲載されています。
本文に先立ち「新発見の経緯」が書かれています。

山田風太郎記念館建設のために開催した「風太郎展」の
展示品として啓子夫人から預かったノートのコピーを改めて読まれていて
発見された作品がきっかけでこの本が出版されたことが書かれています。

この本には7編の新しく発見された作品が紹介されていますが、
「雪女」は、先に書きました鯉の絵に堪能だった先祖の話が出てきます。
また、後々の作品を思い起こさせる内容になっており
興味深く読むことができました。

巻末の解説には、風太郎さんと話をされた内容も紹介されています。
その一つに風太郎さんの親友の小西哲夫氏の面白い話も書かれています。

私にとって鳥取のYさんや米山徹先生と数人の方々は、
ちょうど風太郎さんとこのお二人のような付き合いを
させていただいている人と私は思っています。
このような付き合いのできる人がいてくださることは、
本当に幸せなことと思っています。




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プロフィール

兵庫県播磨高等学校

Author:兵庫県播磨高等学校
2021年に創立百周年を迎える兵庫県播磨高等学校です。
「読書の学校づくり」を推進中です。

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