副校長の読書散歩 #15

      
あたたかな気持ちになれる小説2冊

selected by 安積秀幸副校長先生


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第2回目にドキュメンタリーを取り上げましたが、
今までテーマとして小説は取り上げていませんでした。

私は江戸時代の文化に興味を持っており、時代小説もよく読みます。
学生時代には山本周五郎に凝っていましたし、
藤沢周平、山本一力等よく読んだものです。

最近では図書室で借りた畠中恵さんの『しゃばけ』シリーズも
大変面白く次から次へと読みました。
人情話にはいつもほのぼのとした心遣いを感じます。
時代小説だけでなく小川洋子さんの
『博士の愛した数式』はテレビでも見ました。
梨木香歩さんは『西の魔女が死んだ』から
『からくりからくさ』『裏庭』等続けて読みました。
少し違った怪談話に「ふーん」と思ったものです。





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『本日は、お日柄もよく』
原田マハ 著(徳間書店)



十年以上前になりますが、近畿地方の府県の教育研究所の先生方と
全国レベルの教育研究に携わったことがあります。
そのメンバーはとにかくユニークな方々ばかりなんです。
今でも少なくとも年に一回は府県持ち回りでお世話をし、
楽しいひと時を持っています。

9月の上旬に、その会が神戸で持たれました。
既に退職された方、現役の方と様々ですが
お互いに思ったことを語り合っています。
その席で京都の国語の先生からこの本を紹介されました。

事の始まりは、和歌山の先生の
「職員の結婚式でのスピーチにあがってしまって…。」
という一言でした。
京都の先生は
「この小説はスピーチライターが主人公だけれど、
話し方を教えてくれる本」
と絶賛されました。
ということで学校の帰りに書店に立ち寄り購入しました。

読み始めてすぐに吹き出してしまいました。
主人公は幼馴染の結婚式の披露宴で、主賓の挨拶が眠くて、
スープの皿に顔を突っ込んでしまいます。
しかしその後、素晴らしいスピーチに出会います。
そこからスピーチの一言が人に感動を与え、
行動を起こすきっかけになるのだと感じることができます。

第1回で紹介しました『人を動かす! 話す技術』と通じています。
スピーチを切り口とした二世議員の誕生の話ですが、
基本的なコンセプトをどう決めるのか、それを達成するための作戦、
つまり1回1回のスピーチをどのように作るのか、
時間に追われる中でどう変えていくのか。
最後まで、展開のおもしろさと、
人々のあたたかい気持ちがほんのりと感じられる小説でした。




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『八朔の雪 みをつくし料理帖』
高田 郁 著 (角川春樹事務所)



図書室にNIE事務局から提供されている新聞を見ていて
この本の広告を見つけました。

もともと江戸時代の時代小説が好きなこともあり、
読んでみようと思い立ちました。
岩崎東里先生とその話をしたところ、
市の図書館から借りてくださいました。

いつものことですが、特に江戸時代を舞台にした人情話を読んでは
いつも人が人を思いやる心に、心を打たれます。
この本はシリーズ名に「みをつくし料理帖」とあるように
料理をテーマにした人情話です。食べ物が好きな私は、
このシリーズ名にひかれたのかもしれません。
途中幾度となく涙が出そうになりました。

鰹田麩(かつおでんぶ)、心太(ところてん)、
茶碗蒸し、酒粕汁とおいしそうな名前が続きます。

とりわけ面白いのは、それぞれの料理のレシピが
巻末に書かれていることです。
いつになるかわかりませんが、作ってみたいと思っています。




* 「副校長の読書散歩」とは?

「図書だより 10月号」

※画像をクリックすると、拡大表示でご覧になれます。

図書だより10月号

図書だより10月号です。

「秋の夜長に、本と旅する一冊」として
おすすめの3作品のほか、
学芸発表会に向けた参考図書を紹介しています。

図書室の様子は、追ってご報告します。

副校長の読書散歩 #14

       
童謡・唱歌を楽しむ3冊

selected by 安積秀幸副校長先生


おかりなもからー



前に小川洋子さんの『科学の扉をノックする』を
紹介しましたときに少し触れましたが、
私はオカリナを粘土で形を作り電気炉で焼いて自作しています。

オカリナ1

オカリナ2

自分で作ったオカリナを時々演奏して楽しんでいますが、
自作のオカリナは、12穴、10穴、4穴と3種の穴の数、
また澄んだ音を出すものから、かすれた音になっている物など、
穴の数、形、音色や音の高さも様々です。

今は22個目を作っているところです。
気に入って持ち歩いているのは最初に作った一個です。
これを超えるものがなかなかできないのです。

作り方を教えていただいた先生に話をしましたが、
「20個くらい作っただけではだめだ。
 少なくとも100個は作らないと。」と
言われてしまいました。

オカリナとぴったりと合うのは、童謡や唱歌です。
童謡・唱歌の本は歌や演奏のための楽譜の本と、
解説や説明の本という2つの分野に分かれているように思います。
童謡・唱歌の解説本も何冊か読みましたが、
そのうちの3冊を紹介します。





日本の唱歌1  日本の唱歌2

『読んで楽しい 日本の唱歌 Ⅰ・Ⅱ』
中村幸弘 著(右文書院)



鯉幟の唱歌としては、
「鯉のぼり」と「こいのぼり」の2つがありますが、
「甍の波と雲の波」で始まる「鯉のぼり」は、
3番の「百瀬の滝を登りなば、忽ち龍になりぬべき」の歌詞が、
いわゆる登竜門の話です。
鯉に興味を持っていて、
この歌の作詞をされたのは誰かと調べていました。

この理由については、また別の機会に紹介したいと思っていますが、
図書館でその話をしたところ、
岩崎東里先生に教えていただいたのがこの本です。
この本では、作詞は河合酔茗、作曲は弘田龍太郎となっています。

この本を書かれた中村幸弘先生は、
大学の学長をされていますが、国語の先生をされていました。
この本を読んで、歌詞の文法の解説が多いのも、
なるほどと思ってしまいます。

2巻目にはCDもついていて、
CDを聴きながらこの本を読むのも一興です。
一つ残念なのは、解説の前に楽譜が掲載されているのですが、
少し長い歌は、楽譜が途中で切れているところです。
私たちが習った歌と違った歌詞のものが多く載っています。
とても楽しく読みました。





童謡の玉手箱

『童謡の玉手箱』
文:合田道人 絵:村上 保(神戸新聞社)



この本は神戸新聞で紹介されていたのを読んで購入しました。
神戸新聞で連載されていた「童謡の玉手箱」を本にしたものです。

新聞で紹介されてから本屋さんに行ったのですが、
既に売り切れていた本屋さんもあり、
何軒かの本屋さんをはしごして購入しました。

残念ながら「鯉のぼり」は載っていなく
「こいのぼり」が紹介されています。
「やねよりたかい こいのぼり」で始まる「こいのぼり」。

歌詞には、
「おおきいまごいはおとうさん、ちいさいひごいはこどもたち」と、
お父さんと子どもたちは出てくるのですが、
お母さんは出てこないのです。
しかし、解説のタイトルは「もとは母に感謝する日」です。

このような新しい発見もできる本です。
歌によっては、現在の歌詞と戦前の歌詞の両方が紹介され、
時代の変化をうかがうこともできます。

「読んで楽しい 日本の唱歌」とは違ったほんわかとした解説で、
堅苦しくもなく、かわいらしい絵とともに楽しめる本です。




日本唱歌集


『日本唱歌集』 
堀内敬三・井上武士 著(岩波文庫)



この本の解説の最初で、「唱歌」とは、
童謡、民謡等いろいろな歌の内で
幼稚園、小学校、中学校、高等学校で
教育用に使われる歌曲だと書かれています。

最初から歌詞と楽譜が並べられたこの本は、
懐かしい曲からまた全く聴いたこともない曲が紹介されています。
また、歌詞も曲も、学校で習った歌とは違った唱歌も発見できます。

たとえば、滝廉太郎の「荒城の月」ですが、
「春高楼の花の宴」の「はなのえん」の
「え」の八分音符には#(シャープ)記号がついていて、
半音あげて歌うようになっています。

学校で習った時にはそのような
#(シャープ)記号はついていませんでした。
楽譜を見ながらオカリナを吹いていて発見しました。
別の本に、「山田耕作が編曲するときに取った。」とありました。

さて、「鯉のぼり」の作詞者と作曲者ですが、
文部省唱歌と書かれているだけで、名前は書かれていませんでした。
昭和33年に書かれた「まえがき」には、
現代仮名遣いに改めるために
原作者にできるだけ了解を得る作業をしたとあります。

このことから、「鯉のぼり」の作詞者、作曲者はこの時点では、
まだ分かっていなかったのではないかと思っています。
あわせて、「日本童謡集」もお勧めします。


* 「副校長の読書散歩」とは?
プロフィール

兵庫県播磨高等学校

Author:兵庫県播磨高等学校
2021年に創立百周年を迎える兵庫県播磨高等学校です。
「読書の学校づくり」を推進中です。

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