副校長の読書散歩 #8

       宮崎市定先生の2冊

      selected by 安積秀幸副校長先生

サイズ変更済

私の大学時代の恩師である米山徹先生は、
専門は物理学ですが
いろいろなことに興味を持っておられ、
特に歴史についても詳しく、
多くのことを教えていただきました。

米山先生は気に入った本を
古本屋で見つけられたりすると、
既に持っておられても購入されて
私たちに「読んで見るか、あげるよ。」と言って下さいます。

そのようなこともあり、米山先生には
「もし本を捨てるときには私にください。
私が取捨選択して廃棄させていただきます。」と言っています。
いただいた本は捨てずに持っています。
我が家に本が多いのもこのことが一因だと思います。
今回紹介する宮崎市定先生の本もその一つです。

宮崎市定先生の本は、
米山先生と歴史の話になった時に、
理論的に考えられた経過がわかる、
ちょっと変わった歴史書ということで
教えていただきました。




無題


『謎の七支刀 五世紀の東アジアと日本』 
宮崎市定 著(中公新書、中公文庫)



この本は、米山先生から、
「新書を2冊持っているから1冊あげるよ。」と言われ
連絡を待っていました。
しかし、「探したけれど見つからない。
多分大学の先生にあげてしまったようだ。」と
私も学生時代に教えていただいた
先生の名前をおっしゃいました。

しかたなく、東京へ出張した際に、
神保町の古本屋街で文庫、新書を
専門に扱っている店をはしごして、
新書版をようやく見つけることができました。

また、別の機会で東京大学へ行った際に、
赤門前の古本屋で文庫本を見つけ購入しました。
文庫本の方が、写真が鮮明で分かりやすい感じがします。
この本のサブタイトルには
「五世紀の東アジアと日本」とあります。

七支刀は、奈良県天理市の石上神宮にある国宝です。
日本書紀には神功皇后52年に
百済王から贈られた刀と書かれています。
この刀には表面には34文字、
裏面には27文字の金象嵌銘文がありますが、
剥落がはなはだしく、
ある程度の確実性を持って読めるのが
49字しかありません。
残りの12文字を、論理的に研究を進め確定されています。

物理を専攻した私も感心しながら読ませていただきました。
宮崎先生は「宝物を見たがるな」と書かれていますが、
平城遷都1300年記念事業で石上神宮において公開され、
ガラス張りの陳列箱に入れられた
七支刀を拝見することができました。

また、七支刀のレプリカは、
韓国の国立博物館で展示されており、
訪問した際に発見し、驚きとともに
韓国との文化のつながりを感じたひと時でした。






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『水滸伝 虚構のなかの史実』
宮崎市定 著 (中公文庫)



『水滸伝』は『三国志』とともに私の大好きな小説の一つです。
『謎の七支刀』を読み終えてから
宮崎市定先生の本を探すようになり、
この本も神保町の同じ古本屋で見つけ、購入しました。

副題は「虚構のなかの史実」とあります。
この本で宮崎先生は、「読まされた四書五経」に対し
「隠れてでも読んだ水滸伝」と紹介されています。
宋江、魯智深等の梁山泊での活躍を
わくわくしながら読んだ記憶がよみがえってきました。

この本で最初に紹介されている、
宮崎先生が愛読された国民文庫の『水滸伝』を
図書館から借りて読んでもみました。
リズム感のある文章で、また違った面白さを感じました。
いろいろな方の訳本が出ていますので、
是非読んでみて欲しいと思っています。



* 「副校長の読書散歩」とは?

六月の図書室

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今月の季節の展示は、「梅雨」モードです。

大喜びでしずくを追いかけるかえるや、
涼しげなイルカが窓辺でお出迎えです。

特集コーナーも、複数開設しています。

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4月に刊行されて、あっというまに今年上半期を代表する1冊となった
『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を中心に、
村上春樹特集を展開中です。

その傍らには、今年の青少年読書感想文全国コンクールの
課題図書3冊を集めました。

・『ジョン万次郎海を渡ったサムライ魂』 マーギー・プロイス
・『宇宙へ「出張」してきます』 古川聡/林公代/毎日新聞科学環境部
・『歌え!多摩川高校合唱部』 本田有明


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また、いよいよ来週に迫った2年生の修学旅行に合わせて、
おすすめのガイドブックのほか、
旅行の行き先である北海道にゆかりの深い作品も集めてみました。

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窓辺の新着図書コーナーも、充実しています。

まだまだこれだけではありません。

6/12(水)に特別講演会が予定されている
高橋源一郎さんの特集コーナーや、
つい最近図書室で受け入れを始めた
「のじぎく文庫」のコーナーも新たに設けています。

*高橋源一郎さんの本は姫路市立図書館から急きょ貸し出していただいたもの。
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*「のじぎく文庫」は「ふるさと兵庫」をテーマに掲げる兵庫県に根ざした出版組織として1958年に誕生しました。
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高橋源一郎さんの講演会の様子と、
「のじぎく文庫」については追って詳しくご紹介したいと考えています。

いよいよ来週からは、1年生を対象にした
図書室の利用ガイダンスも始まります。
今年も、ガイダンスと併せてブックトークを行う予定です。

ペンギン・リーダーズを通して

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図書室では、さまざまな本の紹介を通じて「読書」の魅力を伝えるだけでなく、
本を通じて「学習」を支える取り組みも行なっています。

その一例が、『ペンギン・リーダーズ』シリーズです。
全編が英文で書かれた同シリーズでは、
『不思議の国のアリス』、『ハイジ』といった“歴史的”名作のほか、
『ベイブ』などの比較的新しい作品も取り上げられています。

親しみやすい題材を通じて、楽しく英語を学んで欲しいという思いから、
英語科の推薦図書として購入したものです。

作中で用いられている単語数によって、
「Easystartsレベル(200語)」から「レベル6(3000語)」までの7段階に
難易度が設定されています。
このうち、現在図書室に所蔵しているのは、
「レベル2(600語)」と「レベル3(1200語)」です。

4月の下旬には、英語科の常森教諭と協力して、
「キャリア」の時間を使って『ペンギン・リーダーズ』を用いた
自習の機会を設けました。

生徒たちには、各自が選んだ一冊について、
英文で「ブックレポート」をまとめるという課題が出されました。
熱心に集中して取り組む生徒たちの姿が印象的でした。

これから、“学習するための図書室”としての
こうした取り組みもお伝えしていきたいと
考えています。

※英語科の「キャリア」とは
 本(英語)に対する興味・関心を持ち、英語を将来の可能性を広げる一端とするために、
 継続して学習する姿勢を養うことを目的として、英文読解や英作文に重点的に取り組む授業です。
プロフィール

兵庫県播磨高等学校

Author:兵庫県播磨高等学校
2021年に創立百周年を迎える兵庫県播磨高等学校です。
「読書の学校づくり」を推進中です。

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