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読書散歩 #85

読書散歩 第85回
自然を改めて見直す

今年も温暖化の影響で大変暑い日が続くと報道されています。
私は、いつも人間は自分自身が自然の中の生物の一つであることを
忘れてしまっているのではないかと思っています。
そういう自分自身も暑さに耐えかねて冷房の中の生活をしており
エネルギーを消費してしまっています。
そのような中で、自然の生物の生活や生物への
あたたかい思いを綴られた本を紹介します。


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カラー版 目からウロコの自然観察
唐沢孝一/中公新書

この本は、探す本もなく本屋さんを、
なにげなしにぶらぶらしている時に見つけました。

前回ヒバリの鳴き声の話をしましたが、
この本を手に取ったのは、
帯に「ヒバリはなぜ天高く舞いながらさえずるのだろうか?」と
書かれているのが目についたからです。
その続きには、
「アカメガシワの新芽はどうして赤いのか?」
「百日紅(さるすべり)はその名の通り100日咲き続けるのか?」
「ヒガンバナは本当にお彼岸に咲くのか?」
「秋にたくさんいたスズメたちは冬にはどこに行ってしまうのか?」
と私が「うん?」と思ってしまった疑問が書かれていたのが
買ってしまった理由です。

自宅の近くには多くの自然が残っており、
5月後半から6月にかけてはウグイスとホトトギスの合唱に加えて、
田んぼではカエルが大声をあげています。
1年を通して私が経験しているいろいろな植物や動物の観察結果が
カラーの写真と一緒に書かれています。
通勤途中の電車の中で読み、電車を降りてからは
ヒバリの声、ウグイスの声、ホトトギスの声と
順番に楽しみながら自宅に帰りました。

しかし、著者の観察には驚かされてしまいます。
「アオバトの糞から検出された種子の種類と季節変化」や
10年を超える
「ヒガンバナの開花時期(初認、満開、終認)の年変化」の
グラフには
感心してしまいました。

自宅の庭で冬に美しい氷のリボンの花を咲かせてくれる
シモバシラという名前の植物、
第3回で紹介した「冬芽」の面白い表情も書かれており
楽しく読み終えることができました。

知らない動植物もありますが、
自然に生きる動植物のたくましさを実感できました。
機会があればぜひ読んでみてください。



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よもやま花誌(はなし)
松本仁/新評論

この本は、私が大変お世話になっている方から
送って頂いたものです。
以前、著者の松本仁さんと一緒に酒を酌み交わしたことがあります。
その時には、松本さんが
私が以前勤めていた学校を卒業されたこともあり、
植物の話で大変盛り上がってしまいました。

その後、この本を送って頂いた友人と本当に偶然ですが、
松本仁さんの話になり今も交流があることをお聞きしました。
その友人ともその時「世の中広いようで狭いねえ」と
話をしてしまいました。

この本は、松本仁さんがあるミニコミ誌に連載されていた
「仁さんのよもやま花誌」をまとめられたものです。

また、松本仁さんのお兄さんとも大変懇意にさせていただき、
植物についてはいつもたくさんのことを教えていただいています。
ご兄弟とも植物の大家であることを尊敬しております。

サブタイトルに「植物とのふれあい五〇年」と書かれており、
50種類の植物が紹介されています。
この本の目次がまた素晴らしい。
今まで読んだ本の目次はただタイトルと
掲載されているページが書かれているだけですが、
この本の目次は
素晴らしい植物のカラーの絵とともに構成されています。
本文は写真も白黒で残念なところもありますが、
その残念さを越える素晴らしい発想と構成です。

いずれの植物についても、松本仁さんの
その植物の関わりとその植物への
本当に温かい思いが綴られています。
読んでいてほんわかとした温かさを感じます。
実際に訪問された時の写真とともに、
その施設などの連絡先の電話番号なども書かれており、
私達が訪問する時には大変便利な情報として活用できます。

学名の解説や植物の細かなところまでの観察をされており、
私には新しい発見の連続でした。
身近にある植物なら、愛用のカメラを持って写真をとり、
紹介された細かなところを実物と写真で
じっくりとみてみることがしばしばでした。

ハンゲショウは今私の家の狭い庭にも
あざやかな白い葉を付けています。
そのそばには頭をさげた花が咲き始めています。
ハンゲショウの葉の表は鮮やかな白ですが、
裏は白ではなく黄緑色をしていました。
そのこともこの本で教えていただきました。

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表は鮮やかな白(ハンゲショウ【半夏生】)


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裏は淡い黄緑色です


そのような環境に育たれたご兄弟をうらやましくもあり、
その道に多くの成果をあげられていること、
それにもましていつも気さくにいろいろと教えて頂くことに感謝して
読ませて頂いただきました。

また、この本を送って頂いた友人にも感謝しております。
ありがとうございます。

図書館司書の読書だより #8

図書館司書の読書だより 第8回
オープンスクールでのカード作り

カードの作り方説明_convert_20180725161357

図書館司書の岩崎です。
21日の土曜日に、オープンスクールが行われました。
中学生参加のもとで楽しんでもらう
体験学習が21あるのですが
そのひとつが図書部の「手づくりカード」づくりでした。
当日、嬉しいことに飛び入り参加があって、
予定よりも多くの中学生に参加してもらうことができました。

「かんたんたのしい手作りカード」には
14人の中学生が参加してくれて、
2種類のカードを作成、完成したカードをプレゼントしました。

中学生の完成作品_(1)_convert_20180725161442
「人魚姫の恋」とヨットの犬の「マドロス気分で!」

図書部の生徒がアシスタントとなって、
中学生にアドバイスしながら一緒に楽しみました。

図書室では、図書部によるポップ作品も展示しました。
中学生がここから興味のある本を見つけてくれたら嬉しいです。

オープンスクール ポップ展示_convert_20180725161248

読書散歩 #84

読書散歩 第84回
昆虫を食べる

虫を食べると言って思いつくのが鳥だと思います。

近頃散歩をしていると、ツバメが虫を捕まえるために
水面ぎりぎりにグライダーのように飛んでいます。
一方、田んぼではヒバリが
「ピーチクパーチク」と鳴いています。
ヒバリも雑食ですが虫も食べるとありました。

ところで、ヒバリの鳴き声を
「日一分、日一分、利取る、利取る、月二朱、月二朱」
と聞きなし、
ヒバリが太陽に金を貸しているという
民話があることを聞きました。 

 さえずりて 太陽(ひ)に金返せと 揚げヒバリ

ですね。

話が少し外れましたが、昆虫を食べると言えば、
人間ではなく鳥やアリクイ等の
動物がほとんどだと思っていました。
と言いながら、イナゴの佃煮や蜂の子を食べる話は
日本でも聞きますが・・・・・。

インドネシアからの留学生に聞いてみると、
インドネシアでも昆虫を薬にしたり、
料理して食べたりしているようです。


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昆虫食の科学と実践 昆虫を食べる!
水野 壮 監修 洋泉社


この本の表紙には、トノサマバッタの写真と
「虫は、栄養豊富で、おいしい。」と
大きな字で書かれています。

休みに本屋さんをのぞいていて見つけました。
本屋さんで手に取り表紙を開けると、
昆虫を材料にした料理の写真がカラーで印刷されています。
これを見てこの本を買うことも、読むことも躊躇しました。

しかし、この本を買うことにしたのは、

 1 以前、兵庫県私立中学・高等学校の
   理科の先生の研修会の様子が
   「昆虫の味、教諭ら体験」と紹介されていたこと
 
 2 兵庫県播磨高等学校の海外の姉妹校の一つの
   タイ王国のケーマシリメモリアルスクールを訪問した時に、
   タイでは、タガメを唐揚にして食べたり、
   しょうゆなどの香りづけに使われることを聞いていたこと

 3  神戸新聞の随想で、木村三恵さんが
   バンコクでのタガメの唐揚を紹介されていたこと
 
 4  私もイナゴの佃煮を食べ、案外おいしいと感じた経験があったこと

などがあったことです。

案外、昆虫食の情報が私の周りにあったのに驚きました。
一番の理由は、自分自身の好奇心には勝てなかったことでした。

読み終えてから、虫の大嫌いな先生に
「こんな本あるよ」と紹介し、嫌がられてしまいました。

「はじめに」では、
2013年、国連食糧農業機関(FAO)が、
昆虫を食糧および飼料として推奨する報告書を
発表したことが書かれています。
人口増により地球規模では食糧難が来ることは
何回か聞いたことがあります。

この本では、何回も伝統的な食文化としての
昆虫食、栄養価などが紹介されています。
また、おもしろい昆虫食に関するコラムが多く書かれており、
本文は水野壮さんが書かれているのですが、
このコラムが多くの方々によって書かれているので
水野壮さんは「編集」となっていることがわかりました。

何よりもこの本の一番の特徴は、
カラー写真で紹介されている料理のレシピが
最後にまとめられていることだと思います。

昆虫の料理に挑戦する勇気は、まだ私にはありませんが、
挑戦してみようと思われる方はいらっしゃいますか。

読書案内

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図書館司書の岩崎です。

「高校生と、かつて高校生だった人たちのための読書案内」
という読書案内ウェブサイトの企画このたびに参画し、選書・寄稿しました。

『虹色のチョーク 働く幸せを実現した町工場の奇跡』を選びました。
よかったら読んでみてください!
私のページはこちらです。

サイトでは、皆さんに勧めたい本を
さまざま職業の方が選んで
案内文とともに紹介しています。
次に何を読もうかなと思った時に
参考にしてみるといいかもしれません。

皆さんの人生の先輩方が紹介してくださっている本なので、
気になった本は、ぜひ、読んでください。 

読書散歩 #83

読書散歩第83回
小説のなかに見つけた“名表現”
〜万城目学さんの小説2編


万城目学さんの小説は、「鹿男あをによし」や
「プリンセス・トヨトミ」など、
皆さんも良くご存じでしょう。
以前にも第37回で「城崎裁判」を紹介しました。
万城目学さんの小説の奇想天外な展開には
いつも驚かされています。
「よくこんなことを思いつかれるなあ」と感心し通しです。
この奇想天外な小説に、私などが思いつかないような
素晴らしい表現を見つけました。
その表現を紹介しましょう。


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偉大なるしゅららぼん
万城目学 集英社文庫


今回の「偉大なるしゅららぼん」もそうで、
奇想天外な話です。

「しゅららぼん」とは何だと思われますか。
全国の湖には「湖の民」がいて、
ある特殊な能力を持っているという設定です。
琵琶湖の「湖の民」がその特殊な能力を使った時に
聞こえる「音」が
「しゅららぼん」なんです。

琵琶湖の「湖の民」同士の争いのような展開で話は進んでいきますが、
実は八郎潟の「湖の民」と琵琶湖の「湖の民」の
争いだったという展開も驚きでした。

私は昔から読書感想文を書くのが大嫌いでした。
いつも学校で出される宿題に、
いやいや書いていたのですが、
その度に「君の書いたのは感想文ではない」と言われたからです。
この「読書散歩」も
「本を読むきっかけを、なぜこの本を読もうとおもったのかを」
ということから始まりました。
今までも本のなかで気になった部分を紹介してきましたが、
今回も素晴らしい表現に出会うことができました。

例えば、
 
 柳の下から堀をのぞいた。
 大きな鯉が墨汁を滲ませたような鱗をぬめらせ泳いでいた。

とか、
 
 電柱にとまっていた雀たちが何に驚いたのかいっせいに飛び立ち、
 五線譜を駆ける音符のように千々に乱れて田圃の上を渡っていく。

という表現は、まるで俳句ではないですか。

「墨汁を滲ませたような鱗」とか、
「五線譜を駆ける音符のように千々に乱れて」等に
出会った時は、付箋を貼ってしまいました。


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かのこちゃんとマドレーヌ夫人
万城目学 角川文庫


「偉大なるしゅららぼん」に続いて、
図書室にあった万城目学さんを読んでみました。

この本は、
 
 四角い空き地に生い茂る背の低い草たちが、
 風もないのにさわさわと靡いている。
 まるで海に描かれた航跡のように、
 一本の淡い線が緑のじゅうたんを走る。
 草の葉がかさこそと揺れ、驚いた羽虫がぶうんと飛び立つ。
 朝の光を浴びようと、薄紅色の小さな花が
 せいいっぱい穂先を差し出すその根元を、
 丸い影が軽快な動きとともに通り過ぎた。

という素晴らしい書き出しから始まっています。

朝早くに妻と散歩をしていて、
ワレモコウの葉の縁に
朝露が付いているのを見つけました。
その朝露が朝日を浴びて虹色に、
それも微妙に違った色で輝いており、
思わず手にしたカメラで写真を撮ってしまいました。
朝日を浴びていない朝露をよく見ると
背景がさかさまに映っているが分かります。
その時にこの書き出しを思い出しました。
朝の楽しいひとときです。

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タイトルのマドレーヌ夫人とは
突然ふらっと現れてかのこちゃんの家に
いついている猫の名前です。
かのこちゃんの家で飼っている犬の玄三郎、
公園に集まってくる猫たち、
かのこちゃんと同じ学級のすずちゃんの関係が
非常に興味深く描かれています。

いつものように万城目学さんの作品は
奇想天外な設定が多いのですが、
今回も玄三郎とマドレーヌ夫人が夫婦で、
マドレーヌ夫人が「猫股」
つまり尻尾が二本に分かれた化け猫に変身します。
しかしマドレーヌ夫人は、公園の猫たちのために、
もう一回はかのこちゃんへの恩返しのために人間に化けます。

悲しい別れもありますが、全編を通して、
人や猫や犬がお互いを思いやる気持ちを感じる
あたたかい小説です。

この本の解説が、万城目学さんと解説者との関わりを
編年調で書かれている今までにないものであるのも
面白く感じました。
プロフィール

兵庫県播磨高等学校

Author:兵庫県播磨高等学校
2021年に創立百周年を迎える兵庫県播磨高等学校です。
「読書の学校づくり」を推進中です。

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