読書散歩 #68

強烈な印象の残った一冊
Selected by安積秀幸参与先生

ビルケナウの鉄道引込線_convert_20170107111725



冒頭の写真は、ポーランドの南部に位置した
アウシュヴィッツ・ビルケナウ強制収容所への鉄道引込線です。
ヨーロッパの各地から、
貨物列車に載せれられてきた人々は、この引込線によって収容所へ送られ、
そのほとんどが再び外に出ることはありませんでした。

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兵庫県播磨高等学校はポーランドのナザレ校と
姉妹校提携を結んでいます。
そのこともあり、私は相互交流プログラムの一環として
生徒引率でポーランドを訪問する機会をいただきました。

ナザレ校の先生方のご厚意でアウシュヴィッツを訪問し、
強制収容所も日本人ガイドの中谷剛さんに
案内をしていただきました。

「なぜこのようなことが起こったのか、私もわかりません。
若いあなた方には、
なぜこのようなことが起こったのかを考えていただきたい。
答えが見つからないかもしれませんが。
でも、考えてください。」

と、中谷さんが生徒に語りかけられた言葉を
忘れることができません。



アウシュヴィッツ第1収容所入口_convert_20170106201301
アウシュヴィッツ第1収容所の入り口です。


アウシュヴィッツ収容棟_convert_20170106201202
アウシュヴィッツ第1収容所の収容棟。


収容所のベッド_convert_20170106201359
収容所内のベッドです。


アウシュヴィッツのガス室_convert_20170106201100
ガス室。


ドイツ軍が撤退の際に破壊したガス室_convert_20170106201316
これは、ドイツ軍が撤退の際に破壊したガス室です。


展示されているガス缶_convert_20170106201413
ガス室で使われたガス管が展示されていました。


展示されている靴_convert_20170106201427
展示されている靴。収容所内で亡くなっていった人々の数を示しています。


ビルケナウ収容所_convert_20170106201344
アウシュヴィッツ第2収容所とも呼ばれるアウシュヴィッツ・ビルケナウ収容所の全景。







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アウシュヴィッツの図書係
アントニオ・G・イトゥルベ 著 小原京子 訳 (集英社)

強烈な印象の残った本です。

平成28年8月28日の神戸新聞の「本」欄で紹介されていました。
題名にアウシュヴィッツとあったことが
読んでみようと思ったきっかけでもあります。
岩崎東里先生にお願いして
学校の図書館に置いていただきました。

主人公ディタ・クラウスの実話をもとにした小説です。
途中にはナチスのやってきた非道かつ残虐な行為の記述も
たくさん出てきます。
そのたびにアウシュヴィッツで見てきた
様々なシーンが思い出され、
何とも言えない複雑な、やるせない気持ちになりました。

「アンネの日記」で有名なアンネ・フランクも出てきます。

アウシュヴィッツで学校を開設し、8冊の図書を
監視の目をくぐって活用したディタの前向きな考えと
学校開設者のフレディ・ヒルシュの考えには感動しました。

「ナチスは私たちから何から何まで取り上げたけど、
希望を奪うことはできない。それは私たちのものよ。」

という、ディタの言葉は、何回となくでてきます。
その都度、読んでいる私のほうが勇気をもらっていました。

最後に出てくる「著者あとがき」では、
登場人物のその後のことも書かれています。

アウシュヴィッツを訪問し、見てきたこと、感じたことが
更に現実感を持って迫ってきました。
それと、中谷さんからいただいた言葉が
ずっしりとのしかかってきています。

アウシュヴィッツの売店で本を買ってきました。
あえてポーランド語の本を買いました。
長崎に滞在し、アウシュヴィッツで亡くなったコルベ神父の本です。
学校の図書館には、同じ売店で購入した本も置かれています。

「訳者あとがき」も、小原京子さんの想いの
いっぱい詰まった素晴らしい一文でした。
私たちに、この本を手に取る機会を作っていただいたことに感謝します。

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[中谷剛さんのこと]

中谷剛さんは学生時代にポーランド旅行を経験し、
1991年にポーランドに移住したのち、
アウシュヴィッツ・ビルケナウ博物館のガイドの職に就かれました。
ガイドの試験を受けた時、
博物館には外国人ガイドがひとりもいませんでした。
現在もアジア人ガイドは中谷さんおひとりだそうです。
通訳・翻訳家としても仕事をなさっています。

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アンネ・フランクの父、
オットー・フランクから日本にもたらされた「アンネのバラ」は、
今年も美しい花を校庭に咲かせてくれました。

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* 「読書散歩」とは?

読書散歩 #67

抽選でいただいたサイン入りの小説

Selected by安積秀幸参与先生

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平成28年10月2日、神戸新聞読書欄の
「ヨミゴロです」というコラムに、
高田郁さんが『あきない世傳 金と銀』の第2巻を
出版されたことが紹介されていました。

高田さんが書かれた色紙の写真とともに、
最後に「3名の方にサイン入りの本をプレゼント」とありました。
早速はがきを書き応募しました。
岩崎東里先生にも応募の話をしました。
今までこのような応募をして当たったためしがないので
「どうせだめだろう」とあきらめていましたら、
13日に「神戸新聞社から何か届いていますよ」との連絡。

サイン入りの本、当たりました。
嬉しくて、震える手で、封を開けました。
 「感謝」という言葉が書かれた本でした。

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あきない世傳 金と銀 二 早瀬篇
高田 郁 著 (ハルキ文庫)

高田郁さんの時代小説は、いつも
あたたかい人情に触ながら、
展開にわくわくしながら読んでいます。
第1巻から読むべきなんでしょうが、
待ちきれずに読み始めました。

倒れ掛かった呉服屋「五鈴屋」に奉公している
主人公の「幸」は、突然、
遊びほうけている店主徳兵衛の後添えになります。
店のことは全く考えない徳兵衛は好き放題、
挙句の果てに店の要石と呼ばれている番頭を
半身不随にしてしまいます。
そのような中で、次男の惣次は
一生懸命店を支えています。

幸は寝込んでいる番頭に

 今は戦のない太平の世、とひとは言うけれど、それは違う。
 今は『商い戦国時代』やて、私は思うてるんだす。(中略)
 幸やったら、知恵を武器にして商いの道を切り拓いていけるやろ。
 お前はんは、戦国武将になれる器だすのや

と言われ、呉服商の商いを学び始めます。
いろいろな展開にわくわくしながら読みました。
 
この小説の冒頭が「縹色の反物を一面に広げたような、
迷いのない真澄の空が頭上に広がっている。」です。
のっけに第64回「『和の色』に出会う」で紹介しました
「縹色」(はなだいろ)が出てきます。
その他にいろいろな色や生地が出てきます。
「紅鬱金(べにうこん)の紙入れ」なども出てきます。
色や生地が重要な要素になっています。

またまた、「和の色事典」が活躍しました。続きが楽しみです。


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あきない世傳 金と銀 源流篇
高田 郁 著 (ハルキ文庫)


第2巻を待ちきれずに先に読んでしまいましたが、
第1巻を買いました。

学者の家に生まれ育った「幸」は
幸せな日々を送っていました。
しかし、よき理解者であった兄が亡くなり、父も亡くなり、
呉服屋「五鈴屋」に奉公することになります。

幼い時から父に

 「人々の暮らしの基は、農にある。政の基も、本来は農にあるべきなのだ。
 自らは何も生み出さず、汗をかくこともせず、
 誰かの汗の滲んだものを
 右から左へ動かすだけで金銀を得るような、
 そんな腐った生き方をするのが商人だ。
 商とは、即ち詐なのだ」

と教え込まれた幸は、番頭さんの「治兵衛」をはじめ
五鈴屋の人たちに教えられながら「商い」を学んでいきます。

その基になっているのが

 「知恵は、生きる力になる。知恵を絞れば、無駄な争いをせずに、
 道を拓くことも出来る。知恵を授かりたい、という
 幸の願いはきっと叶えてもらえるよ」

という兄の言葉です。

江戸時代の「士農工商」考えの父、
それとは違った新しい考えを持った兄の言葉に
励まされる幸は、
特に番頭にいろいろと教えてもらいます。

巻末の「治兵衛の商い講座」も興味深く読んでいます。
先に読んだ第2巻にようやくつながりました。
この後の展開が楽しみです。


黄八丈とカリヤスとカラムシ

小説の中に、品のある色に染まった
黄八丈の反物の話が出てきます。
黄八丈は刈安という植物で染めることも出てきます。
『牧野植物図鑑』で調べてみました。

コブナグサ(かいなぐさ、かりやす 古名 かいなぐさ、あしい)と、
カリヤスの2種類の植物が書かれています。
コブナグサの欄に、
「八丈島では八丈絹の黄色の染料として使う」
とあります。

「和の色事典」では、コブナグサで染めた黄八丈と
カリヤスで染めた刈安色が別々に出ています。
刈安色も鮮やかな黄色と青みがかった黄色が紹介されています。
見惚れてしまいました。

インドネシアの姉妹校から届いた
日本のカラムシを使った織物を紹介します。

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This Shawl is made from a mixture of “Karamushi” and “silk” yarn.
We made this shawl using traditional weaving machine
at Sukabumi, west java, Indonesia.

“Karamushi” means Boehmeria niponoviea,
type of plant which is an ingredient for fabric. “Showa” is
a village name where this michinoeki locates.
Showa village in Fukushima is the area
where boehmeria niponoviea is used to make fabrics.

“Karamushi” of Showa-mura started when Ashina Morimasa,
lord of the Aizu domain at the beginning of the Muromachi period,
encouraged its cultivation. Karamushi,
a ramie, is an urticaceous plant called “choma” or “aoso”.


 (訳)
  このショールは、「カラムシ」と「絹」の混合糸で織られたものです。

  インドネシア・ジャワ島の西ジャワ州にあるスカブミという街の
  伝統的な織り機を使って作りました。

  日本の福島県に「からむし織の里しょうわ」という道の駅があります。
  昭和村では、カラムシ(学名: Boehmeria niponoviea)の
  栽培が行われていて
  古くからカラムシの織物を作ってきました。

  昭和村のカラムシの歴史は、室町時代に
  会津藩の領主だった蘆名盛政(あしなもりまさ)が
  栽培を奨励したことから始まりました。

  なおカラムシはツツジ科の植物で
  「苧麻(ちょま)」や「青苧(あおそ)」とも呼ばれます。


と説明書に書かれていました。

渋い落ち着いた色に染めてありました。
福島の昭和村とインドネシアの架け橋の織物です。
嬉しい気持ちになっています。





* 「読書散歩」とは?

「ポーランドコーナー」を展開中です

ポーランドコーナー_201612


いま、図書室に入ってすぐのスペースを
「ポーランドコーナー」として
ディスプレイしています。

大きく貼り出しているのは、
今年の初夏に、研修旅行で同国を訪れた
特進コースの2年生によるレポートです。

ポーランド共和国の首都、ワルシャワには
本校の姉妹校であるナザレ校があり、
同校の生徒の皆さんとの交流は、
研修旅行の大きな目的のひとつとなっています。

レポートの掲示とあわせ、
ポーランドに関連する書籍を集めています。

思い思いの「入り口」から、
ポーランド共和国との関わりを深めていってもらえたら、
と考えています。


学芸発表会で展示を行いました

学芸発表会2016


11月5日、6日の2日間にわたり、
学芸発表会が開催されました。

図書部・読書部は、日々の活動の紹介として
3つの企画展示を行いました。


学芸発表会2016_ビブリオバトル

1つ目は、今年の3月に、
図書部員が本校の教職員を対象に行った
「ビブリオバトル」の報告です。
(当日の様子は、以前こちらのブログでも紹介しています)



学芸発表会2016_ポップギャラリー

2つ目は、図書部・読書部員が作った
POPのお披露目です。
図書館内でのディスプレイや、
「Yomo Yomo Spot」への配架の際に活躍している
選りすぐりのPOPを一覧できるようにしました。



学芸発表会2016_yomoyomospot

3つ目は、普段は各学年のフロアに1台ずつ
設置している「YomoYomoSpot」の展示です。
10月に本校で開催された創立95周年記念の特別講演会に、
スピーカーとして来校してくださった
鎌田實氏の著作を集めています。
「YomoYomoSpot」の配架図書の入れ替えや
ボードのディスプレイの変更は、
図書部・読書部員の協力のもと定期的に行っています。



また、学芸発表会のなかで毎年行われている
「朗読のコンテスト」では、
図書部の部長が去年に引き続き1位に輝きました。

参与の読書散歩 #66-後日談

砂金探しの後日談


「こうなったらたとえ1つでも」という思いは
強まるばかり。
砂金を選り分けるためのパンニング用の皿も
購入することになりました。
「とにかく専門家のご指導を」と思っていた矢先、
幸いなことに兵庫県教育研究会科学部会の行事で、
「地学巡検」が開催されると案内がありました。
そのテーマが、「山崎断層」と「砂金探し」でした。
早速申し込みをして参加しました。

当日、道具はすべて貸していただきました。
バール、たわし、台所で使うプラスチックのザルとボール、
パンニング皿、移植ごてなどなど。
「パンニング皿だけではだめなの?なんでバールがいるの。」
と思いながら現地到着。
次回には1人でも行けるように教えていただきました。

指導していただいく先生のまずは実演、
岩の割れ目の中の砂や、
そこに生えている植物の根についている土、コケ等から
ザルとボールでたくさんの砂を集められました。

その砂をパンニング皿に入れ
大胆に砂を川の水で流していかれました。
「えー!そんな大胆に流していいの?」と思っていると、
皿に残った砂鉄をていねいに見ていかれました。
その中にキラッと光る金があるではないですか。
参加している15人ほどから「おー!」と歓声が上がり、
指導者の先生も
「今までここで見つけた砂金の中で一番大きい。」の一言。

みんな勢い込んで作業開始。
なかなか見つかりません。
途中から私もだんだん大胆になって
できるだけ多くの砂を集めて、砂鉄だけに。

先生に「この中にありますかねえ」とたずねますと
「ありますよ」との返事。

「どこに?」「ここに!」「え?どこ?」「ここ!」

よくよく見ると小さな小さな黒ではない色の粒が。
内心「嬉しい~」と「こんな小さいの?」の複雑な気持ち。
小瓶の中の水中に大事に入れて、持ち帰りました。

帰るなり「みつかったん?」の一言。だまってその瓶を差し出す。
「このホコリみたいなんが砂金?
 砂金と思ってみるから、そうかなと思うけど」。

職場では、
「このホコリみたいなものを一生懸命に探すあんたに感心する。」
と言われたり。

大事に大事に持ち歩いていたら、
瓶の栓が外れて水がポケットの中に流れているではありませんか。
「ありゃー」ポケットの布を丹念に見ても見つからず・・・・・。
瓶をルーペで見ていたら、らしき粒が・・・・・。

やれやれ。

プロフィール

Author:兵庫県播磨高等学校
2021年に創立百周年を迎える兵庫県播磨高等学校です。
「読書の学校づくり」を推進中です。

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